草の根無償資金協力を活用して建設された災害シェルター、相次ぐ台風の被害からトゥア・ティエン・フエ省の人々を守る
令和4年11月2日
2022 年 9 月 27 日の午後、台風4号 ノル がベトナム中部地方に上陸し、広範囲に深刻な洪水、鉄砲水、地滑りなどを引き起こしました。それら台風による被害から人々の安全を確保するため、トゥア・ティエン・フエ省アルオイ郡のホンハー村では、草の根・人間の安全保障無償資金協力を活用して建設された農林業生産研修場兼災害避難所(以下、センター)を、村の人々の一時的な避難場所として利用しました。特に高齢者、子供、妊婦や病気を持った方々が同センターを利用しました。
ホンハー村は、山岳部にある村で、ベトナム政府による貧困対策事業の対象地域として認定されています。コトゥ族やタオイ族等の少数民族の人々も住んでいます。村の人々の住居は河川の周辺に集中しており、雨季には鉄砲水、土砂崩れなどの洪水に見舞われることも多いです。そのなかで、村の人々とホンハー村人民委員会は、災害シェルター及び学習とコミュニティ活動の場として多目的に利用することのできるセンターの建設を計画しました。 そして、ホンハー村人民委員会は、在ベトナム日本国大使館と協力して、草の根・人間の安全保障無償資金協力を活用し、2021年11月にホンハー村の2 つの集落にセンターを1棟ずつ建設しました。建物は頑丈なつくりで、高台に位置し、電気、水道など生活に必要な設備が十分に整っています。
これらのセンターは、災害用シェルターに加えて、村の人々が農林業の生産技術を学んだりコミュニティ活動を行ったりするためにも使用されています。これまで、農林業の生産技術に関する多くの研修コースが開催されました。また、村の人々がフエ農林大学の支援を受けながら、コミュニティの防災計画の作成も行われました。さらに、これらのセンターは、これまでは既存の村役場に集中していた人々の往来を緩和することにもつながり、 新型コロナウイルス感染症の蔓延防止の観点からも、村の人々の役に立ってきました。2022 年は、台風4号 ノル、台風 5 号ソン・カと暴風雨が相次いでいます。これらのセンターは、これからもホンハー村の人々の安全な暮らしを支えます。