日越人材育成交流会inハティン

 10月13日,在ベトナム日本国大使館後援の技能実習や留学に関するセミナーである「日越人材育成交流会inハティン」が,日越外交関係樹立45周年記念事業の1つとして,ハティン省で開催されました。日越人材育成交流会は,技能実習や留学についての適切な情報を発信し,日越の人材育成交流を促進するために,NPO法人日本国際親善協会及び公益財団法人国際労務管理財団が共催(在ベトナム日本国大使館,在日本ベトナム社会主義共和国大使館後援)で開催したものです。
 当日は,留学や技能実習での訪日を希望する学生・生徒,送出機関関係者,教育関係者等約240名が参加しました。
 大使館から,適切な技能実習と留学が行われるように期待を込めて,(1)出稼ぎ留学は行わない,(2)ブローカーは利用しない,(3)高額な手数料は払わない,という3点の注意喚起を強調して,挨拶を行いました。
 大使館では,今後も様々な機会を通じ,技能実習と留学の適正化に向けて,正確な情報発信に務めてまいります。
 
 (大使館挨拶概要)
 本日は,日越人材育成交流フォーラム in ハティンにおいて,お話をする貴重な機会を頂きまして誠にありがとうございます。在ベトナム日本国大使館を代表いたしまして,挨拶とともに,留学と技能実習についての正しい情報発信をさせて頂きます。
 留学と技能実習については,正しい情報発信が何より重要です。そのため,この日越人材育成交流フォーラムは,ハティン省,そしてベトナムにとって素晴らしい取組です。
 フォーラム開催にご尽力いただいたNPO法人日本国際親善協会(JIFA:ジャイファ),IPM公益財団法人国際労務管理財団(IPM:アイピーエム),ハティン省の関係者の皆様に心から敬意を表します。
 
 本日は,まとめを含め4点お話します。
 1つ目は,広範な戦略的パートナーシップの基,日越両国は過去最良とも言える大変良好な関係を築いています。要人の往来も多く,昨年は天皇皇后両陛下の初めてのベトナムご訪問,安倍総理大臣の2度の訪越があり,今年は急逝されたクアン国家主席が5月に国賓として日本を訪問しており,先週はフック首相が日本を訪問し,日越首脳会談が行われています。
 本年は,日越両国は外交関係樹立45周年を迎えました。この日越人材育成交流フォーラムも,外交関係樹立45周年記念事業の一環として開催して頂いています。
 要人の往来だけでなく,教育,文化,経済等様々な分野での両国の交流が盛んです。現在,ベトナムの在住日本人の数は,約16,000人とこの数年で倍増しており,一方,日本在住のベトナム人の数は現在,29万人を超えて国別3位となっています。そのうち,技能実習生は,一昨年中国を抜き国別で1位となり,本年6月で13万人を超え,2010年と比べ17倍に急増しました。留学については,中国に次いで国別2位で,本年6月で8万人を超え,2010年と比べ16倍に急増しました。
 日越両国の交流の拡大は大変喜ばしいことであり,多くのベトナムの若者が日本で働いています。日本では少子高齢化,労働力不足が進んでいるので,心強いところです。
 しかし,留学・技能実習の急増により問題も生じています。日越関係に影を落とすものです。
 技能実習生の失踪者数はワースト1位で,全体の半数以上をベトナムが占めています。不法残留者も年々増加しています。
 そして何よりも,犯罪の増加が問題です。昨年の刑法犯の検挙件数はベトナムがワースト1位で対前年68%増と大幅に悪化しています。
 ベトナムの若者は夢や希望を抱いて訪日しており,決して最初から犯罪をしようと思って日本に行っているのではなく,犯罪をせざるを得ない状況に追い込まれています。多額の借金を抱え,日本に行っても借金が返せず犯罪に走る。
 ベトナム,そして日本において,悪徳ブローカー,悪徳業者,悪徳企業がばっこしており,ベトナムの若者を食い物にしています。ベトナムの若者の人生をメチャクチャにしています。
 日本におけるベトナムのイメージ,そしてベトナムにおける日本のイメージが悪化することを懸念しています。本問題は大使館にとって最重要課題の一つです。
 
 2つ目が適正な留学の勧めと留意事項です。
 まずは,留学,技能実習ともに,甘い言葉に乗せられて悪徳業者にだまされないように気をつけてください。大使館としても,正しい情報発信に努めていますので,正確な情報を入手してください。
 「勉強しながらでも,アルバイトで1ヶ月何十万円も稼げる。」「留学中は,アルバイトで得た給与で,学費と生活をカバーでき,国に仕送りができる。」こんな嘘の情報に惑わされないようにしてください。
 家賃を含めた大学生の平均生活費は10万円以上で,さらに,生活費のほかに学費がかかります。日本語教育機関,大学とも,入学金を含めずに学費のみでも年間約50~150万円はかかります。 生活費さえ賄うことが難しいアルバイト代で,学費と生活の費両方を賄うことは,非常に困難です。
 そもそも留学は,生活費をまかなえる十分な資産,奨学金などを有することが必要です。
 つまり出稼ぎ目的の留学生は認められていません。
 奨学金などの手段がある人だけが日本留学をしてください。
 留学とは,勉強することであり,就労を目的とするものではありません。留学は決して,技能実習の代わりの手段ではありません。
 そして,留学エージェントやブローカーに頼るのは,いたずらに借金を増やすだけです。
 留学に関する情報は日本国大使館や日本学生支援機構(JASSO)のホームページを見てください,日本語だけでなくベトナム語の情報も充実しています。
 また,先週の日越首脳会談の中でも留学や技能実習について取り上げられています。安倍総理は「悪質な仲介業者や不適切な受入機関への対策は極めて重要であり協力していきたい」旨述べ,フック首相は「両国間での人材交流を更に拡大させたい,悪質な仲介業者に対してはベトナム政府としてもしっかり協力していく」旨述べました。また,「日本で学ぶベトナム人留学生に関する協力覚書」も締結されています。
 是非,奨学金などによる適正な留学を心がけてください。
 教育は,これからの人生を切り拓く大きな力となります。しっかりと教育を受けることは,自分の将来を照らすことができるだけでなく,ベトナムの国をより良くしていくことにつながります。
 この素晴らしい日越両国の関係を維持・発展させていくことが重要だと考えております。皆様の中にも将来日本に留学などをされる方もいらっしゃると思います。
 一人一人がベトナムの代表だということを意識して,日本でもがんばっていただき,日本との架け橋となって両国の発展に貢献していただくことを期待しております。
 最後に留学については,くれぐれも出稼ぎ留学は考えないようにお願いします。
 
 次に3つ目の適正な技能実習の勧めと留意事項です。
 技能実習については,(1)送出機関の手数料,(2)ブローカー禁止,(3)日本語の重要性,(4)介護職種技能実習,(5)新たな在留資格(特定技能)の5点お話します。
 
(1)送出機関の手数料
 技能実習については,日本で3~5年間,企業で働きながら技能を身に付けて母国に帰って活かすことを目的とする制度です。中には1年だけのプログラムもあると思いますが,お勧めしません。3年以上の期間,日本に在留できる職種での技能実習を目指してください。
 技能実習については,留学と異なり,業者を通さずに自分で手続きをすることはできません。
 したがって,ほとんどの方が送出機関に頼って,技能実習による訪日することになります。
 送出機関は300以上あります。残念ながら良い会社だけでなく,悪徳機関もあります。決して,2億ドンを超えるような多額な手数料を払って,訪日するようなことがないように気をつけてください。悪徳機関にだまされないでください。
 技能実習生に対する手数料は,ベトナム労働・傷病兵・社会省(MOLISA)の通知により,3年契約の場合には3,600USドル以下,1年契約の場合には1,200USドル以下と上限額が定められています。在留資格認定証明書が発給される前に技能実習生から費用の徴収を行うことはいかなる形においても厳禁です。事前教育費としては約520時間の日本語教育に対し,590万ドン以下と定められています。
 また,保証金の徴収も日本の法令により禁止されています。
 無駄なお金は払わないようにしましょう。そして,手数料などを支払ったときはちゃんとした領収書をもらいましょう。領収書が出せないお金はおかしいですね。もしお金を支払っても領収書がなければ自分が支払ったかどうか証明できません。
 経費について,金額が高ければ安心というのはおかしいですね。そもそも上限を超えているのは違反です。日本に行く場合に,例えばEPAの看護師・介護福祉士候補者のように国のプログラムで無料の場合もあります。もちろん甘い話には注意が必要ですが,必ずしも金額が高ければ安心で無料だと詐欺というものではありません。MOLISA海外労働管理局のホームページなどもご確認ください。
 
(2)ブローカーの禁止
 技能実習の日本とベトナムの協力覚書において,ブローカーは明確に禁止されています。ブローカーは相手にせず,直接,送出機関に連絡しましょう。
 ブローカーを頼らなければ送出機関にたどり着けない方は,外国に行くことはあきらめてください。借金を抱えて不幸になるだけです。
 誰かに頼ってやってもらうのではなく,自分の力で道を切り開く必要があります。親や友達の意見を聞くことは重要ですが,それだけに頼るのではなく幅広く正しい情報を得る努力をしてください。インターネットを通じて調べたり,直接送出機関に電話をしたり情報収集をしてください。ベトナム国内だけでなく,日本に行ってからも同じです。都合の良い情報を鵜呑みにしたり,甘い言葉にだまされたりしないように十分に気をつけてください。
 
(3)日本語の重要性
 日本に行く前はもちろん,日本に行った後もしっかりと日本語学習を継続してください。日本で仕事を,そして生活をする上で,日本語はとても大事です。
 コミュニケーションの道具として積極的に活用するとともに,日本語能力試験(JLPT)などの受験を目標に日本語能力に磨きをかけてください。
 高い日本語能力を身に付けることができれば,それは一生の財産になります。日本で稼ぐ200万,300万のお金よりも貴重なものです。
   
(4)介護職種技能実習
 新しく技能実習に介護の職種が追加になっています。看護系の学校を卒業した人が主な対象となるかと思いますが,入国には日本語能力N4,2年目に移行するにはN3が必要となります。
 もし,看護短大などを卒業されて介護職種技能実習での訪日を考えている人がいらっしゃれば,是非,日越EPAに基づく第7陣看護師候補者・介護福祉士候補者の送出事業への応募を検討してください。EPAは日越両政府が全面的に支援するプログラムになります。今年の募集は10月19日までです。
 
(5)新たな在留資格(特定技能)
 日本では,技能実習以外に,特定技能と言われる新たな在留資格を来年4月に創設することを検討しています。
 これは3年以上の技能実習を修了した方やそれと同じぐらいの技能・日本語能力を有する方を対象として,農業・介護・建設・造船・宿泊などの職種について,5年間の在留を可能とするものです。
 したがって,技能実習5年間の後,特定技能で5年間で,最長10年間の在留が可能となります。まだ制度の詳細は検討中となりますが新たな動きとしてお知らせします。
 
 最後にまとめになりますが,より良い技能実習制度の構築には,日越両政府だけでなく,送出機関,監理団体,受入企業,そして技能実習生自身も含め関係者全ての努力が重要でありますので,今後の皆様の一層のご協力をよろしくお願いします。
 大使館としても,ビザ発給に当たっての面接の強化,日越の関係当局への働きかけ,悪徳留学斡旋業者の公表と一定期間の査証代理申請の受付停止,正しい情報発信のための周知,各地方省の幹部への協力の要請などを引き続き行い,だまされてかわいそうな目に合うベトナムの若者が一人でも減るように,努力を続けていきます。
 (1)出稼ぎ留学は行わない,(2)ブローカーは利用しない,(3)高額な手数料は払わない,という3点をもう一度繰り返して周知します。
 
 ご出席の皆様のご健勝,日越関係の更なる発展を祈念し,私の発表を終了します。皆様がんばってください。
 
(会場風景)           (集合写真)

本件に関するお問い合わせ先
在ベトナム日本国大使館
経済班(担当:桃井)
電話:+84-24-3846-3000
FAX:+84-24-3846-3044