ベトナムの社会・経済戦略概要

社会経済発展10か年戦略(2011-20年)

 「社会経済発展10か年戦略(2011-20年)」(SEDS 2011-20)とは,2011年1月の第11回共産党大会で採択された共産党文書であり,今後10年間の社会経済開発に関する指針を示す重要な文書である。 主な内容は以下のとおり。

(1)発展方針
• 持続的な発展と短期間での成長。
• 社会主義ベトナム建設のための経済・政治面での革新。
• 民主主義の実践と人的要素の最大化。
• 生産力強化,科学技術の向上,社会主義志向型市場経済体制の向上。
• 国際参入の中での自立した経済の形成。
(2)主な全体目標
• 2020年までに工業国化達成,政治的及び社会的安定の維持,人々の物理的及び精神的な生活の向上,独立・領土の保全,国際社会における地位向上。
(3)主な経済指標
• 2010‐20年の年率平均経済成長率:7‐8%。
• 2020年の名目一人当たりGDP:3,000米ドル。
• 2020年の産業構造(対GDP比):鉱工業・サービス業が85%,うちハイテク産業が45%。
• 2020年の農業人口は総労働人口の30‐35%。
(4)主な社会指標
• 人口増加率:1.0%(年率),2020年の平均寿命向上(75歳),2020年には国民皆保険の達成。
• 2020年の訓練済みの労働者の割合:70%以上。
• 貧困削減率(年率1.5‐2%),地域間・民族間の格差是正。
(5)主な環境指標
• 2020年の森林被覆率:45%。
• 2020年までに全国民の清潔かつ安全な水へのアクセス普及。
• 気候変動,特に海面上昇への積極的対応。
(6)「3つの突破口」
• 上記目標の達成には,(1)社会主義志向型市場経済体制の構築,(2)人的資源の開発,(3)(特に交通・都市)インフラの整備,が「突破口」となる。
 

社会経済発展の実施結果評価(2011-2015年)及び社会経済発展任務の方向性(2016-2020年)に関する報告書

 「社2016年1月の第12回共産党大会では,上記10か年戦略を補完する形で,過去5年間の社会経済発展の実施結果評価及び今後5年間の社会経済発展任務の方向性に関する報告書が採択された。主な内容は以下のとおり。

(1)発展方針
• 社会主義志向市場経済体制の向上。
• 急速且つ持続的な発展の維持,文化社会発展,国防の国土の維持
• 国家管理の向上及び法制度の向上。
• 資源の有効活用と国際参入の推進。
(2)全体目標
• マクロ経済安定の維持,過去5年間より高い経済成長率を達成,3つの突破口基づいた政策実施の加速化,経済再構築と結びついた成長モデルの転換,生産性・競争力の向上,文化社会発展,社会福祉の向上,気候変動への積極的な対策,国防強化,独立・領土の維持,社会秩序・政治的安定の維持,主導的な国際参入,国際社会における地位向上,早期に近代的な工業国になるための基礎作り。
(3)主な経済指標
• 2016-20年の年率平均経済成長率:6.5-7%。
• 2020年の名目一人当たりGDP:3,200‐3,500米ドル。
• 2020年の財政赤字(対GDP比): 4%以内に抑制。
• 2020年の産業構造(対GDP比):鉱工業・サービス業が85%。
(4)主な社会指標
• 2020年の総労働人口における農業人口割合:40%。
• 2020年の訓練済みの労働者の割合:65-70%以上。
• 2020年の都市部の失業率:4%以下。
• 2020年の国民皆保険加入率:80%以上。
• 年平均貧困削減率:1.3‐1.5%。
(5)主な環境指標
• 2020年の森林被覆率:42%。
• 2020年の国民の清潔かつ安全な水へのアクセス:都市部95%,農村部90%。
 

社会経済開発5か年計画(2016-20年)

 「社会経済開発5か年計画(2016-20年)」(SEDP 2016-20)とは,2016年4月の第14期国会で承認された政府文書であり,上記共産党文書をより具体化する文書である。主な内容は以下のとおり。

(1)主な全体目標
• マクロ経済安定の維持,過去5年間より高い経済成長率を達成,3つの突破口基づいた政策実施の加速化,経済再構築と結びついた成長モデルの転換,生産性・競争力の向上,文化社会発展,社会福祉の向上,気候変動への積極的な対策,国防強化,独立・領土の維持,社会秩序・政治的安定の維持,主導的な国際参入,国際社会における地位向上,早期に近代的な工業国になるための基礎作り。
(2)主な経済指標
• 2016-20年の年率平均経済成長率:6.5‐7%。
• 2020年の産業構造(対GDP比):鉱工業・サービス業が85%。
• 2020年の一人当たりGDP:3,200-3,500ドル。
• 年平均の社会開発投資(対GDP比): 32-34%。
• 2020年の財政赤字(対GDP比):4%以下。
• 2020年の消費者物価指数の上昇率:5%以内。
(3)主な社会指標
• 2020年の総労働人口における農業労働人口:40%以下。
• 2020年の訓練を受けた労働者の割合:65-70%。
• 2020年の都市部における失業率:4%以下。
• 2020年の人口1万人当たりの医師人数,病床数:9-10人,26.5病床。
• 2020年の国民保険加入率:80%。
• 年平均貧困世帯削減率1-1.5%。
(4)主な環境指標
• 2020年の森林被覆率:42%。
• 2020年の国民の清潔かつ安全な水へのアクセス:都市部95%,農村部90%。
(5)上記目標・指標を達成するにあたって,以下の任務・解決策に注力する。
• 社会主義志向の市場経済発展,マクロ経済の安定,社会経済発展のための環境整備。
• 成長モデル転換と結びついた経済再構築,生産性の向上,経済の競争力強化。
• 突破戦略の基づいたインフラ整備。
• 人材開発及び科学技術の向上。
• 経済発展と調和した持続的な文化・社会発展,人々の生活の向上。
• 積極的な気候変動対策,災害防止対策,天然資源管理能力,環境保護の強化。
• 汚職及び浪費の防止。
• 国家管理の効率性向上,国民の自由・民主主義の保障。
• 国防強化,独立・国家主権・領土の保全,政治的及び社会的安定。
• 対外活動の促進,積極的な国際参入。