伊藤大使の日越包括的戦略的パートナーシップ1周年レセプションにおけるご挨拶
令和6年11月27日
グエン・ミン・ヴー・ベトナム社会主義共和国筆頭外務次官、
御列席の皆様
本日は、大変多くの方においでいただき、ありがとうございます。日越関係は、昨年、外交関係樹立50周年という歴史的な節目を迎えました。そしてちょうど1年前の今日この時間、日越首脳会談が行われ、両国関係は「アジアと世界における平和と繁栄のための包括的戦略的パートナーシップ」へと深化しました。
その1周年を記念して、本日は、日頃から両国のパートナーシップの発展に大きく御貢献くださっている皆様に御礼を申し上げたく、このような機会を設けさせていただきました。皆様と共に1周年をお祝いできることを大変嬉しく思うとともに、日頃からの御協力・御尽力に感謝申し上げます。
日本とベトナムの包括的戦略的パートナーシップは、既に具体的な成果を挙げています。政治、安全保障分野から、貿易・投資、文化交流や人的交流、国際社会が直面する様々な課題への対応に至るまで、幅広い分野において協力が着実に進展し、国民間の相互交流も一層活発になりました。
まず、政治面では、日越双方で指導者の交代がありましたが、そうした中でもハイレベルの密接なコミュニケーションが維持されています。トー・ラム書記長は就任後まもなく、9月に岸田総理と電話会談を行いました。その後10月初めに就任した石破総理も既にファム・ミン・チン首相とラオスとブラジルで二回の会談を実施し、ルオン・クオン国家主席とも先日、ペルーで会談を行いました。いずれの会談においても、日越間の変わらぬ信頼関係、そして包括的戦略的パートナーシップに基づき協力を進める決意が確認されたところです。この12月から来年にかけても、ハイレベルの相互訪問が見込まれています。
日本にとってベトナムは、自由で開かれたインド太平洋を実現するための要となるパートナーです。安全保障分野や海上交通の安全強化の分野でも協力が進展した1年でした。日本からベトナムに対して初めて、防衛装備品の防錆技術の移転と資材運搬車の供与が実現しました。また、ベトナム海上警察に対して巡視船6隻を建造するプロジェクトが進められています。さらに、政府安全保障能力支援(OSA)という新しい枠組みの内容についても、現在協議を進めているところです。
経済面では、両国の協力の象徴的な案件であるホーチミン市都市鉄道一号線が、ついに12月の開業を待つばかりとなりました。昨年の日本の対越投資は国別で第2位となり、進出日本企業は2000社を超え、大都市圏のみならず地方へも広がっています。今年に入り、半導体分野等への積極的な投資が進んでいます。フエではイオンモールが開業しました。そして、この1年の間に日本の地方から県知事8名が訪越し、地方間交流も活発です。研究や人材育成を進める両国の協力案件である日越大学は10月に10周年を迎えました。
在日ベトナム人コミュニティは初めて60万人を突破しました。3月には特定技能試験がベトナムで開始され、建設、農業、介護、自動車整備、宿泊に加え、外食、飲食料品製造を加えた7分野で受験が可能となりました。6月には「育成就労制度」が創設され、ベトナムの方々が日本で安心して働くための環境整備も引き続き進めていきます。また、訪日ベトナム人数も約57万人と過去最大になりました。来年は大阪万博もありますので、これをよいきっかけにさらに訪日観光客が増えることを期待します。
また、今年9月には、台風ヤギが北部を中心に甚大な被害をもたらすという大変重大な出来事がありました。日本の官民の双方から支援物資や義援金が被災地に届けられたことは、日越の真の友情の表れです。日本政府はJICAや国際機関を通じた支援を行い、総額は240万ドルに達しました。改めて被災者・被災地の方々に心からお見舞いを申し上げますとともに、日本は今後ともベトナムへの必要な支援を惜しまないことをお約束いたします。
さて、新しいリーダーであるトー・ラム党書記長の下で、ベトナムは今、「新しい時代」に向けて国家を大きく飛躍させるべく、交通運輸、デジタル、エネルギー分野を戦略的インフラとして注力しています。日本はこれを歓迎するとともに、この「新しい時代」が、日本企業やODAにとって更なる好機を提供すると考えています。「2045年までに高所得の社会主義先進国になる」というベトナムの目標の達成に向けて、日本はこれからも最良のパートナーであり続けることをお約束します。
ちょうど100年前の1924年11月、若かりし故ホー・チ・ミン主席が乗る船が日本の門司港に寄港しています。今年でちょうど100年目となり、包括的戦略的パートナーシップ1周年とあわせて、大変意義深い、記念すべき出来事としてご紹介します。
それでは、日越の包括的戦略的パートナーシップの1周年、今後の更なる強化・発展と、本日ご出席の皆様のご健勝とご多幸を祈念し、私からの挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
御列席の皆様
本日は、大変多くの方においでいただき、ありがとうございます。日越関係は、昨年、外交関係樹立50周年という歴史的な節目を迎えました。そしてちょうど1年前の今日この時間、日越首脳会談が行われ、両国関係は「アジアと世界における平和と繁栄のための包括的戦略的パートナーシップ」へと深化しました。
その1周年を記念して、本日は、日頃から両国のパートナーシップの発展に大きく御貢献くださっている皆様に御礼を申し上げたく、このような機会を設けさせていただきました。皆様と共に1周年をお祝いできることを大変嬉しく思うとともに、日頃からの御協力・御尽力に感謝申し上げます。
日本とベトナムの包括的戦略的パートナーシップは、既に具体的な成果を挙げています。政治、安全保障分野から、貿易・投資、文化交流や人的交流、国際社会が直面する様々な課題への対応に至るまで、幅広い分野において協力が着実に進展し、国民間の相互交流も一層活発になりました。
まず、政治面では、日越双方で指導者の交代がありましたが、そうした中でもハイレベルの密接なコミュニケーションが維持されています。トー・ラム書記長は就任後まもなく、9月に岸田総理と電話会談を行いました。その後10月初めに就任した石破総理も既にファム・ミン・チン首相とラオスとブラジルで二回の会談を実施し、ルオン・クオン国家主席とも先日、ペルーで会談を行いました。いずれの会談においても、日越間の変わらぬ信頼関係、そして包括的戦略的パートナーシップに基づき協力を進める決意が確認されたところです。この12月から来年にかけても、ハイレベルの相互訪問が見込まれています。
日本にとってベトナムは、自由で開かれたインド太平洋を実現するための要となるパートナーです。安全保障分野や海上交通の安全強化の分野でも協力が進展した1年でした。日本からベトナムに対して初めて、防衛装備品の防錆技術の移転と資材運搬車の供与が実現しました。また、ベトナム海上警察に対して巡視船6隻を建造するプロジェクトが進められています。さらに、政府安全保障能力支援(OSA)という新しい枠組みの内容についても、現在協議を進めているところです。
経済面では、両国の協力の象徴的な案件であるホーチミン市都市鉄道一号線が、ついに12月の開業を待つばかりとなりました。昨年の日本の対越投資は国別で第2位となり、進出日本企業は2000社を超え、大都市圏のみならず地方へも広がっています。今年に入り、半導体分野等への積極的な投資が進んでいます。フエではイオンモールが開業しました。そして、この1年の間に日本の地方から県知事8名が訪越し、地方間交流も活発です。研究や人材育成を進める両国の協力案件である日越大学は10月に10周年を迎えました。
在日ベトナム人コミュニティは初めて60万人を突破しました。3月には特定技能試験がベトナムで開始され、建設、農業、介護、自動車整備、宿泊に加え、外食、飲食料品製造を加えた7分野で受験が可能となりました。6月には「育成就労制度」が創設され、ベトナムの方々が日本で安心して働くための環境整備も引き続き進めていきます。また、訪日ベトナム人数も約57万人と過去最大になりました。来年は大阪万博もありますので、これをよいきっかけにさらに訪日観光客が増えることを期待します。
また、今年9月には、台風ヤギが北部を中心に甚大な被害をもたらすという大変重大な出来事がありました。日本の官民の双方から支援物資や義援金が被災地に届けられたことは、日越の真の友情の表れです。日本政府はJICAや国際機関を通じた支援を行い、総額は240万ドルに達しました。改めて被災者・被災地の方々に心からお見舞いを申し上げますとともに、日本は今後ともベトナムへの必要な支援を惜しまないことをお約束いたします。
さて、新しいリーダーであるトー・ラム党書記長の下で、ベトナムは今、「新しい時代」に向けて国家を大きく飛躍させるべく、交通運輸、デジタル、エネルギー分野を戦略的インフラとして注力しています。日本はこれを歓迎するとともに、この「新しい時代」が、日本企業やODAにとって更なる好機を提供すると考えています。「2045年までに高所得の社会主義先進国になる」というベトナムの目標の達成に向けて、日本はこれからも最良のパートナーであり続けることをお約束します。
ちょうど100年前の1924年11月、若かりし故ホー・チ・ミン主席が乗る船が日本の門司港に寄港しています。今年でちょうど100年目となり、包括的戦略的パートナーシップ1周年とあわせて、大変意義深い、記念すべき出来事としてご紹介します。
それでは、日越の包括的戦略的パートナーシップの1周年、今後の更なる強化・発展と、本日ご出席の皆様のご健勝とご多幸を祈念し、私からの挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。