伊藤直樹大使の着任1年に際してのメッセージ
令和7年5月26日
(2025年5月22日付、Vietnam+に掲載された寄稿文の仮訳)
タイトル: ベトナムの「新しい時代」に向けて 共に歩む日本
昨年5月17日に日本国大使として活動を開始してから早1年が過ぎました。これまで訪れた省市は、北はカオバン省から南はカマウ省まで30近くとなりました。ベトナム各地で、社会全体にあふれる活気、そして人々の間にみなぎるベトナムの将来への自信と希望を感じてきました。
先月末には、ホーチミン市に出張し、南部解放・国家統一50周年記念式典・パレードに参列しました。この国の未来を担う若者達が、高揚感にあふれ、共に50周年を祝い、「ベトナム、ホーチミン主席」、「平和の物語が続いていく」を夜通し歌い続けていたのが大変印象的でした。この国の成長を喜び、これからの発展をサポートしている若者のエネルギーを感じました。
ベトナムでは、トー・ラム書記長のリーダーシップの下で、新しい時代を目指す改革が急ピッチで行われ、民族の新しい飛躍の時代を迎えつつあります。また、2045年に先進国入りを目指すという国としての大きな目標を掲げています。
日本の石破茂総理は、先月、ベトナムを訪問し、トー・ラム党書記長やファム・ミン・チン首相をはじめとするハイレベルの指導者と会談しました。日越ハイレベルにおける信頼の厚さを改めて示すものでした。
石破総理がベトナムの指導者にお伝えしたのは、ベトナムの新しい時代に向けた改革の方向性を歓迎し、更なるベトナムの経済成長において、かけがえのないパートナーとして、日本の強みを活かして協力していくことということです。
日本とベトナムの首脳は、戦略インフラ、半導体、DX/GX、エネルギー、防災、人材育成、サプライチェーンといった分野への支援をこれからの日越協力の柱としていくことを確認しました。これらは、ベトナムのさらなる経済成長を支える鍵となる分野です。
半導体については、今後5年間で、ベトナムの博士後期課程学生の延べ250名程度を日本政府が奨学金を出し、受け入れます。
日越両国で設置した日越大学では、今年秋学期から半導体の人材育成プログラムを開設します。
GX・エネルギーの分野では、洋上風力といった再生可能エネルギーやLNG火力など総事業規模約200億米ドルの15のプロジェクトを両国で協力して推進していきます。
また、日本は、最大の援助国として、ドイモイ政策後の40年にわたるベトナムの成長を支援し続けてきました。援助額は、総額212億米ドル(3兆771億円)に上ります。
今後、都市鉄道といった交通インフラ、気候変動対策、水環境など都市における環境改善や水上警察の能力強化といった分野で更なるODA協力の可能性を追求していきます。
現在、日本からベトナムへの投資は累計777億米ドルで国別第三位であり、年間貿易額も、最近10年間で1.8倍に増加し、500億米ドルに届く勢いです。
ベトナムの様々な改革が、企業の投資環境の改善にもつながっていくことが、日本企業の投資の拡大にとって大事であると考えています。民間経済の役割が一層重視される中で、日本企業にも裨益し、ベトナム企業との連携強化にもつながることを強く期待します。
人的交流の分野では、在日ベトナム人が63万人に達しました。日本で働き、日本の社会経済を支えているベトナムの若い方々が、日本を就職先として選んでいただくよう引き続き努力していきます。そして、より働きやすい環境を整備するために、育成就労という新しい制度を導入します。
現在日本では、大阪・関西万博が開催されていますが、ベトナム館は、伝統楽器の演奏や水上人形劇の公演が大人気で、連日行列となっていると伺っています。万博でのベトナムのナショナルデーである9月9日は、日越で共に盛大にお祝いしたいと思います。そして、万博の機会に、ベトナムから多くの方に日本各地を訪れていただくことを期待しています。
近年、国際社会で地政学的に大きな変化が生じている中、ベトナムは、ASEAN FUTURE FORUMやP4Gサミットを開催するなど、多くの外交的イニシアティブを発揮しています。日本は、ベトナムが国際社会において、更に大きな役割を果たすために、緊密に連携を進め、そして、共に、自由で開かれたインド太平洋を実現していきたいと希望しています。
ベトナムが大きな飛躍と変革の時を迎える今、日本国大使として勤務できることを大変誇りに思います。「アジアと世界における平和と繁栄のための包括的戦略的パートナーシップ」の下で、日越の友好協力関係が更に発展するよう、これからも力を尽くして参ります。
タイトル: ベトナムの「新しい時代」に向けて 共に歩む日本
昨年5月17日に日本国大使として活動を開始してから早1年が過ぎました。これまで訪れた省市は、北はカオバン省から南はカマウ省まで30近くとなりました。ベトナム各地で、社会全体にあふれる活気、そして人々の間にみなぎるベトナムの将来への自信と希望を感じてきました。
先月末には、ホーチミン市に出張し、南部解放・国家統一50周年記念式典・パレードに参列しました。この国の未来を担う若者達が、高揚感にあふれ、共に50周年を祝い、「ベトナム、ホーチミン主席」、「平和の物語が続いていく」を夜通し歌い続けていたのが大変印象的でした。この国の成長を喜び、これからの発展をサポートしている若者のエネルギーを感じました。
ベトナムでは、トー・ラム書記長のリーダーシップの下で、新しい時代を目指す改革が急ピッチで行われ、民族の新しい飛躍の時代を迎えつつあります。また、2045年に先進国入りを目指すという国としての大きな目標を掲げています。
日本の石破茂総理は、先月、ベトナムを訪問し、トー・ラム党書記長やファム・ミン・チン首相をはじめとするハイレベルの指導者と会談しました。日越ハイレベルにおける信頼の厚さを改めて示すものでした。
石破総理がベトナムの指導者にお伝えしたのは、ベトナムの新しい時代に向けた改革の方向性を歓迎し、更なるベトナムの経済成長において、かけがえのないパートナーとして、日本の強みを活かして協力していくことということです。
日本とベトナムの首脳は、戦略インフラ、半導体、DX/GX、エネルギー、防災、人材育成、サプライチェーンといった分野への支援をこれからの日越協力の柱としていくことを確認しました。これらは、ベトナムのさらなる経済成長を支える鍵となる分野です。
半導体については、今後5年間で、ベトナムの博士後期課程学生の延べ250名程度を日本政府が奨学金を出し、受け入れます。
日越両国で設置した日越大学では、今年秋学期から半導体の人材育成プログラムを開設します。
GX・エネルギーの分野では、洋上風力といった再生可能エネルギーやLNG火力など総事業規模約200億米ドルの15のプロジェクトを両国で協力して推進していきます。
また、日本は、最大の援助国として、ドイモイ政策後の40年にわたるベトナムの成長を支援し続けてきました。援助額は、総額212億米ドル(3兆771億円)に上ります。
今後、都市鉄道といった交通インフラ、気候変動対策、水環境など都市における環境改善や水上警察の能力強化といった分野で更なるODA協力の可能性を追求していきます。
現在、日本からベトナムへの投資は累計777億米ドルで国別第三位であり、年間貿易額も、最近10年間で1.8倍に増加し、500億米ドルに届く勢いです。
ベトナムの様々な改革が、企業の投資環境の改善にもつながっていくことが、日本企業の投資の拡大にとって大事であると考えています。民間経済の役割が一層重視される中で、日本企業にも裨益し、ベトナム企業との連携強化にもつながることを強く期待します。
人的交流の分野では、在日ベトナム人が63万人に達しました。日本で働き、日本の社会経済を支えているベトナムの若い方々が、日本を就職先として選んでいただくよう引き続き努力していきます。そして、より働きやすい環境を整備するために、育成就労という新しい制度を導入します。
現在日本では、大阪・関西万博が開催されていますが、ベトナム館は、伝統楽器の演奏や水上人形劇の公演が大人気で、連日行列となっていると伺っています。万博でのベトナムのナショナルデーである9月9日は、日越で共に盛大にお祝いしたいと思います。そして、万博の機会に、ベトナムから多くの方に日本各地を訪れていただくことを期待しています。
近年、国際社会で地政学的に大きな変化が生じている中、ベトナムは、ASEAN FUTURE FORUMやP4Gサミットを開催するなど、多くの外交的イニシアティブを発揮しています。日本は、ベトナムが国際社会において、更に大きな役割を果たすために、緊密に連携を進め、そして、共に、自由で開かれたインド太平洋を実現していきたいと希望しています。
ベトナムが大きな飛躍と変革の時を迎える今、日本国大使として勤務できることを大変誇りに思います。「アジアと世界における平和と繁栄のための包括的戦略的パートナーシップ」の下で、日越の友好協力関係が更に発展するよう、これからも力を尽くして参ります。
大使のこれまでのご挨拶
≫ 伊藤大使着任のご挨拶 | 令和6年5月17日 |
≫ 伊藤大使の第70回自衛隊記念日レセプションにおけるご挨拶 | 令和6年6月14日 |
≫ 伊藤大使の日越包括的戦略的パートナーシップ1周年レセプションにおけるご挨拶 | 令和6年11月27日 |
≫ 2025年旧正月(テト)にあたり、伊藤直樹大使からの新年のご挨拶 | 令和7年1月29日 |